2017世界ジュニア選手権レポート-6

【女子メインドロー準決勝】
Satomi Watanabe lost to Hania El Hammamy(EGY)0-3(10-12,4-11,10-12)

本気で優勝を狙って挑んだ今大会、残念ながら最終日を目前に敗れる結果となってしまいました。

日本人初の準決勝の舞台、昨日以上に観客が入り会場の雰囲気も日本や他国のジュニアの試合とは大きく異なる状況の中、緊張感は拭えなかったと思います。
日を追うごとに高まる日本からの期待感と昨日までの疲労からくる不安感、いかに海外での試合経験や優勝経験があるといっても18歳の彼女が背負うには大きなものだったと正直思いました。
そんな中始まった1ゲーム目、序盤はHania選手のタイトなドライブとドロップに硬さの残る中食らいついていったと思います。
しかし、中盤、Hania選手のタイトなバックサイドストレートでプレッシャーをかけられ、徐々に離されてしまいました。それでも、後半気持ちを持ち直しタイブレーク。
決して油断したわけではないと思いますが10-10に追いついた後のレシーブリターンを安易に流してしまったのは気持ちが丁寧になり過ぎてしまっていたのかも知れません。
1ゲーム目を10-12で落とします。
2ゲーム目は、お互いの選手のメンタルの差を感じるゲームでしたね。
お互いに硬さがあった1ゲーム目を両選手とも取りたかったのは絶対でしょう。
追いついてゲームを落としてしまった渡邉選手と取りたかった1ゲーム目を取って気持ちにゆとりが出来たHania選手。
気持ちにゆとりが出来たことで、すべてのスピードを1段階上げてより強気で攻撃的に仕掛けてきたHania選手に対し、後手に回ってしまったことで気持ちが落ち込みピックアップが出来ない渡邉選手にこのゲームをひっくり返す流れはなかったです。
自分が良いショットを打ってもピックアップされ、相手が打ってきたボールに対してはあと一歩届かない…そんな状況下で襲ってくるのは翌日までの疲労感だったと思います。
気持ちが折れそうになり、疲労感も出てくる状況の中で立て直すのは本当に勇気とエネルギーが必要で本人が自分自身で引き上げなければいけない過酷なものですから本当に辛かったでしょう。
3ゲーム目に入る前に「どんなに疲れていてもここから3ゲーム取るしかない。気持ちだけは最後まで絶対に前を向いていこう」と話し、本当に心身共に限界に近い中、最後まで食らいついていったと思います。
最後は前から課題になっていたミドルコートからのドロップショットのミス、これが大きなポイントになってしまいました。
そして、大会を通じて、どの選手もフロントコートを積極的に攻めてきました。
これは渡邉選手のフロントコートでのバリエーションの少なさやドライブラリーよりもフロントコートラリーの方がプレッシャーが低いと思われているからだと思います。
この後、アジアジュニア選手権、USジュニア、ブリティッシュジュニアと最後のジュニア遠征が続きますし、今回戦った選手たちとの再戦も当然あるでしょう。
そこでしっかり勝ちきるには、苦手とする部分を克服することとこのレベルの連戦に耐えきれるスタミナとフィジカル、そして試合経験をあと5か月間必死に行うのが必須だと思います。
しかし、昨日、そして今日の3ゲーム目と終始リードされている中で必死に追いついていったあの時の強い気持ちとそれを最大限に発揮できた技術は本当に良いものだったと感じます。

あれこそが渡邉選手の根本にある強さだったと思いますし、これからも下に続いている日本のジュニア達や応援してくれる人達に勇気とパワー、そして夢を与える素晴らしい人間力だったと私は思います。
きっとその部分はLive配信を観ながら応援していただいた多くの方に伝わったと思いますし、渡邉選手自身、今大会をはじめこれからも続くトーナメントに向けて皆さんの応援が力になったと思います。

本当に多大なる応援心より御礼申し上げます。

帯同コーチ:松本淳

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カテゴリー: 世界ジュニア選手権2017, 遠征リポート   パーマリンク