欧州スカッシュ協会(ESF)のジュニアトーナメント
増田和子
先日、シーズンの最後を締めくくる欧州スカッシュ協会(ESF:European Squash Federation)の認定する大きなトーナメントの1つに参加して来たので、今回は、ヨーロッパのジュニアを対象にしたトーナメントについて紹介します。
ESFのジュニアトーナメントシーズンは、夏休み開け、新学期が始まる9月から翌年の7月までで、欧州各国で大小様々な大会が行われます。2011年度は、シーズン初めの9月に開催されるフィンランド大会を皮切りに、23大会が予定されています(大会リストはこちら)。これらの大会に参加するとその成績により選手はポイントを獲得し、参加大会中で獲得点の高い3大会の平均により計算されるポイントに基づきESFランキングが決定します。
トーナメントは、大会のレベルによりポイントの低い方から、サーキットと呼ばれる主にローカル選手を対象としたトーナメントに始まり、グランプリ(GP)、スーパーシリーズ(SS)、ゴールドイベント(GE)の4種類があり、それぞれ、参加人数に応じたポイントが与えられます(各大会別ポイント加算等の詳細をご覧になりたい方はこちら)。グランプリ以上は海外選手のエントリーを想定しており、大会規模も大きくなります。スーパーシリーズは、海外参加者を含む150エントリー以上、ゴールドイベントは、海外参加者を含む400エントリー以上が期待されています。尚、ESFのサイトでは、男女別に、19歳以下(U19)、17歳以下(U17)、15歳以下(U15)、13歳以下(U13)の年齢カテゴリーに分けたランキングを公表しています(ESFのジュニアランキングをご覧になりたい方はこちら)。
2011年度のSSシリーズは、以下の8大会です。
表1:2011年度ESFのスーパーシリーズトーナメント
トーナメント名 | 開催期間 | 開催国 |
Nordic Junior Open | 2011年10月6日〜9日 | スウェーデン |
Belgian Dunlop Junior Open | 2011年11月3日〜6日 | ベルギー |
Cool and Clean Swiss Junior Open | 2011年12月1日〜4日 | スイス |
British Junior Open | 2012年1月2日〜6日 | イギリス |
French Junior Open | 2012年2月16日〜19日 | フランス |
German Junior Open | 2012年3月15日〜18日 | ドイツ |
Pioneer Junior Open | 2012年6月21日〜25日 | ドイツ |
Dutch Junior Open | 2012年6月28日〜7月1日 | オランダ |
これらのトーナメントは海外選手のエントリーを想定しているため、通常ホテルや飛行場への送り迎え等を含むパッケージエントリーが用意されています。有名な観光地での開催もあり、ちょっと変ったヨーロッパ旅行がアレンジできるかもしれません。
例えば、シェフィールドというヨークシャー地方で毎年1月に開催されるブリティッシュジュニアオープンは、各カテゴリー最大64ドローで、国毎に参加選手数に制限があり世界大会のような様相を呈しています。新年早々、英国の田舎で開催されるこの大会に世界中から人が集まるのには驚きます。英国内のジュニア選手は、開催国の特典なのかドローに空きがあれば参加制限を超えてのエントリーが可能です。但し、英国内ランキング16位以上でなければエントリーが受け付けられる可能性は低くなります。イングランド内のジュニア選手たちは、年1回行われるこの大会出場を目指して1年間国内大会でしのぎを削ります。
一方、こうした国別に参加制限が設けられていないスーパーシリーズで、夏休み初期に行われるドイツのパイオニアオープンとオランダのダッチオープンは、大量の海外選手が押し寄せる大会となっています。特に最近は米国の選手の増加が著しいようです。先日参加したパイオニアオープンでは、半分がアメリカ人かと思われる程大量のアメリカのジュニア選手が参加していました。この大会は、開催当初は小さな大会でしたが、良い時期に開催されるためか、参加者が毎年増え続け、今年は34ヵ国580人の大会となっていました。特に男子U17は、前代未聞の128人から始まる最大ドローで、主催者も経験した事のない規模の大会運営にてんてこ舞い。試合は最大で3時間以上も遅れ、大会二日目までは会場はカオスと化し、夜中過ぎまで試合をしても予定を消化できない事態に陥りました。5日間に渡る大会は全ての順位を決定するまで行われるため、最大ドローのU17に参加した息子は、様々な国から来る選手と計7試合をすることができとても有意義な大会となりました。大会の模様はSquash Siteの記事(英文)でご覧になれます。
これまで、ドイツ、フランス、オランダの大会に参加した事がありますが、オランダのダッチオープンは、個人的に最も好きな大会です。ショーコートを含む21コートを持つスカッシュ会場で全ての試合が行われ、選手にとって大変便利です。しかも、会場からアムステルダム中心部へのアクセスも良く、引率者も十分含め楽しめる大会だと思います。9月から始まる来シーズン、ESFトーナメントに参加して世界各国のジュニアと試合を楽しんでみませんか。
ジュニアランキングと海外大会について
JSAジュニア委員会より
今夏、ジャパンジュニアオープンが参加したアジアジュニアスーパーシリーズは、このヨーロッパのジュニアシリーズとランキングと同じ様なシステムとなっています。競技の発展に不可欠なジュニアの育成に、近年は各国が力を入れており、このランキングは1つの指針として有効だと判断され、アジアでも導入されました。現在のアジアジュニアランキングではU19男子の小林僚生選手が28位、郡司颯選手が33位、U17男子では遠藤共峻選手が7位、U19女子の山崎真結選手が14位、U17女子の杉本梨沙選手が14位、U13女子の渡邊聡美選手が4位と健闘しています(詳しくはASFサイトをご覧下さい)。
これらの大会には、例えば日本選手がヨーロッパ大会に出るなど、他の地域のランキング対象大会でも参加できますが、ランキングの管理などの事も有り、各国協会からのエントリーが求められます。(注:小さい大会には例外があるかもしれません)
毎年ブリティッシュジュニアやスコティッシュジュニアに小林選手・杉本選手を始めとするジュニア選手達が個人参加しております(関連記事)。参加ご希望の方は、協会からエントリー手続きを行いますので、協会事務局にご連絡下さい。
ご参考に、今年のブリティッシュジュニアの申込要項を掲載しておきます。
ブリティッシュジュニア大会ページはこちら