3月ナショナル強化合宿で特別コーチとして来日してくださったアーロン・ソイザコーチにインタビューしました。
日本になじみの深いアーロンコーチですが、ご自身のことを教えていただけますか?
フルタイムのコーチングをはじめて16年になりますが、現在はペナンスカッシュアカデミーのヘッドコーチをしています。
知っている人も多いと思いますが、日本の小林海咲、僚生、郡司颯、渡邉聡美、安佑未、園部大和といった選手をアカデミーに迎え入れてきました(2017年3月現在)。また短期で松井千夏、山崎真結、前川美和、前川宏介、道下和子といった選手がコーチングを受けに来たこともあります。
以前日本に来た時と、変わったと思うところがありますか?
日本に来るのはこれで6度目になります。最後に来たのは、7年ほど前で聡美が10歳でした。
その頃と比べると、ジュニアの数がかなり増えましたね。ジュニア選手にとってスカッシュがしやすくなっているのでしょう。
以前はジュニアがプレイできるクラブが少なかった印象でした。きっとサンセットブリーズ、マスカット、スカッシュキューブのような施設の存在も大きいのでしょう。
日本について、どういったところが良いと思いますか?
私にとって日本は一番好きな国です。人々は礼儀正しく、常に相手の立場にたって物事を考えることができる心をもっていると思います。
それに日本は友達がたくさんいます。
今回の合宿はどうでしたか?
とてもいい成果が出たと思います。選手たちの真剣な気持ちを感じました。
彼らが全力を尽くしてくれましたし、僕もベストを尽くしました。
彼ら一人一人のゲームでもっと気を付けるべきことをそれぞれにアドバイスできたと思う。
コーチとして常に心がけていることはありますか?
(こぶしを胸にあてて)心で指導することです。
また、スカッシュを学ぶ上でもっとも大切だと思うことは何ですか?
常に違った人間を相手に、自分がやりたいことをしなければならないのがスカッシュです。相手も同様に自分のやりたいことをしようとする。だからスカッシュのゲームは多様性に満ちています。だからただ勝つことにフォーカスするのではなく、様々なシチュエーションで卓越したプレイができるようになることを常に目標にしなければなりません。
パーソナルな質問に移りますね。健康のために心がけていることはありますか?
ランニング、ジムトレーニング、スカッシュ、とにかくよく運動をします。
コーチとして一番の思い出を教えて下さい。
それは2014年の仁川アジア大会に、マレーシアの女子チームの監督として参加した時のことです。
マレーシアは個人戦で金メダルと銀メダルを獲り、団体戦でも金を獲得しました。最高の結果が出た大会でした。
では選手としての一番の思い出は何ですか?
私は2000年と2001年にプロとしてプレイをしました。そして、香港で開催されたアジア選手権団体戦でオン・ベン・ヒー、アズラン・イスカンダ―とともに、マレーシア代表としてプレイした時は、まさに私の競技生活の最高点だったといえます。
スカッシュ以外で、好きなスポーツは何ですか?
モータースポーツが大好きです。フォーミュラ1、日本グランプリ、MotoGPなど、父親の影響で観るようになりました。
時間がある時どんな事をしているんですか?
よくアコースティックギターを弾きます。トミー・エマニュエル(豪州出身のギタリスト)が好きなんです。
一番好きな食べ物を教えてください。
一つ選ぶのは、食べ物に不公平ですね。私は食べ物はなんでも好きで、なんでも食べます。私を知っている人に聞いてもらったら、みんなそれは私らしい答えだって口をそろえて言うはずですよ。
ご自分を3つの言葉で言い表してください。
Logical, Conservative, Consciousこれは私のコーチングに直結する意識で、それは私のアートオブコーチング、選手から最大限を引き出すために、物事を伝える方法に関係しています。
最後の質問です。もしスーパーパワーが手に入るなら、どんな力が欲しいですか?
そんなことを尋ねられたのは初めてです。そうですね、(少し考えて)自分の分身が欲しいですね。そうしたら、色んなところに同時にいられて、たくさんの違った経験をする事ができますよね。
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なんとなく最後の答えから、日本の滞在を楽しみつつも、マレーシアにいる家族と一緒にいたい気持ちがちらと見えた気がしました。
というのも、アーロンコーチ、ほんの1週間ほど前に女の子が誕生したばかり。普段よりご家族の事が気になっていらしたのでしょう。
そんな中で日本のプレーヤーの為を真剣に考えて心を込めて指導に当たって下さったコーチに心から感謝したいと思います。